生殖器の病気

生殖器の病気

乳腺炎

乳腺が炎症を起こし腫れた状態をいいます。痛みのため触れられるのを嫌がったり、乳汁が分泌されるなどの症状が現れます。
症状が重い場合は、発熱や食欲の低下などの症状を示します。原因は、授乳時に子犬の歯や爪がつけた傷口からの細菌が感染や急な離乳による乳汁うっ滞が考えられます。治療は、抗生剤や抗炎症剤を用います。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は子宮の内部に膿がたまる状態をいいます。避妊をしていない老犬では頻繁に見られます。発情後の免疫力が低下する時期に細菌が子宮内で増殖しておこります。また、卵巣のホルモン分泌バランスが悪くてもおきやすいと考えられています。初期には無症状であることが多く、病態が悪化するにつれ元気、食欲の減退、吐き気、多飲多尿などの症状が出ます。陰部より膿がでてきたり腹部が膨らむこともあります。子宮が破れて腹腔に細菌が漏れ出た場合、腹膜炎を起こし死亡することもあるため早期の外科的処置を必要とします。

膣脱(ちつだつ)・子宮脱(しきゅうだつ)

膣脱

膣脱は、膣の内側の壁が外部に出てくる疾患で、難産、陣痛、便秘などが原因となっています。脱出した部分は最初はピンク色ですが、赤黒く変色していき、やがて出血、細菌感染、ただれ、壊死、排泄困難といった症状が現れます。特に発情前期や発情期に起きやすく、一度発症すると、発情の度に繰り返すこともあります。ウサギの場合はショック状態に陥ってしまうこともありますので、すぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。

子宮脱

分娩した後、子宮が反転して脱出してしまうことを子宮脱と呼びます。しばらくすると、血液の循環が悪くなり、むくみやうっ血が発生し、やがて壊死してしまいます。子宮を元に戻す治療を行いますが、既に子宮が壊死してしまっている場合は、卵巣と子宮を摘出します。

膣炎

膣に炎症が起き、外陰部やお尻を舐める、膣が赤く腫れる、腰から臭いのあるおりものが出る、外陰部やお尻から嫌な臭いがするといった症状が現れるようになります。ウイルス感染、生殖器官の未成熟、細菌感染、先天性異常などが原因だと考えられており、交尾によって伝播して、不妊、流産、死産を引き起こすこともあります。また膣炎がみられる犬では膀胱炎を併発していることも多いため注意が必要です。通常は、初めての発情期を迎える前や発情期後に自然と治りますが、治らない場合には、抗生物質による内科的治療を行っていきます。

停留睾丸(停留精巣)

赤ちゃんの時は、オスの睾丸(精巣)はお腹の中に収まっており、通常は産まれる時か産まれて間もなく外に出てきます。しかし、5~6ヵ月齢まで下降が完了しないことがあり、精巣が体内で温められて精子を作れなくなってしまいます。さらに、性ホルモンの分泌も不十分になるため性成熟しにくくなる、腫瘍になる確率が高くなる、尿管や腸管を圧迫して排尿と排便がスムーズにできなくなる、といった問題もあります。

前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)

前立腺が腫れて炎症が起きているのが前立腺肥大で、原因によって前立腺襄胞、良性前立腺過形成、細菌性急性前立腺炎、前立腺膿瘍、細菌性慢性前立腺炎などに分類されています。前立腺肥大になると、細菌感染しやすく、細菌性膀胱炎を引き起こすこともあります。初期症状はほとんどありませんが、徐々に便が出にくい、便の形が変わる、血尿などが見られるようになります。また急性の場合には、発熱、嘔吐、食欲不振といった症状が現れ、痛みが酷いと背中を丸めてうずくまってしまうこともあります。去勢をしていない5~6歳以上のオス犬で発症することが多いのですが、中でもダックスフント系やコーギーでは他の犬種と比較して若い時期にもなりやすい傾向にあります。

犬の出産(産後のケア)

仔犬のケア
温める

室温は少なくとも21℃に設定して、身体が冷えないようにしましょう。

初乳を飲ませる

生れてから数日以内のお乳には、免疫物質や栄養がたくさん含まれていますので、必ず飲ませてあげるようにしましょう。母犬が仔犬の世話をしない場合は、スポイトで吸い取って仔犬にあげても問題ありません。

圧死事故に注意する

分娩で疲れた母犬が仔犬の上に乗ったまま寝てしまうことがありますので、注意して見てあげてください。

断尾と狼爪の切除

ご希望の方は、なるべく生後2~5日目には動物病院へ連れていきましょう。

母犬のケア
子宮感染症に注意する

出産後の子宮は、元の状態に戻るまでに1~2ヶ月くらい必要で、その間は子宮感染症になりやすい状態にあります。子宮脱や胎盤停滞が起こることもあり、場合によっては子宮摘出が必要になります。また、3週間くらいはおりものがみられますので、急に色が濃くなる、臭くなる、血が混じるなどがある場合には、動物病院へ連れていってください。

低カルシウム血症に注意する

小型犬の場合、出産して数日後にカルシウム不足になり、痙攣などの症状が現れることがあります。もしそうなってしまった場合は、点滴やカルシウムの注射などが必要になります。母犬は仔犬を育てる分、エネルギーやカルシウムなどの栄養が不足しがちですので、離乳までは母犬にも子犬用のフードを与えるようにしましょう。

犬の出産(自宅での自然分娩)

出産の準備

出産日が近くなったら、落ち着いて出産できる小さな部屋や箱を用意して、静かな状態で母犬をひとりにしてあげましょう。なお、正常な直腸温度は38.0℃~39.0℃で、出産開始24時間前になると、1~2℃程度体温が下がります。

分娩と出産

第1期母犬に落ち着きが無くなり神経質になる状態が6~24時間続きます。

第2期陣痛が始まり、液体のたまった緑色の袋、胎児、胎盤が出てきます。出産が終わると母犬は仔犬を包んでいる袋やへその緒を噛み切りますが、もし母犬がそういった動作をしない場合は、飼い主が代わりにしてあげましょう。

第3期続いて2頭目、3頭目と赤ちゃんを出産し、長いと1時間程度に渡って出産を続けます。

産後の看護

仔犬を包んでいる膜を取り、そして、自発呼吸や血液循環を刺激するために、きれいなタオルでよく拭くようにしましょう。2〜3分くらいすると、仔犬は動き始め、大きな声で鳴くようになります。ヘソの緒は、仔犬の体から2~3cmの所を糸で結んで、その先をハサミで切って消毒しましょう。

出産の介助

仔犬が産道で引っかかって出てこない場合は、きれいなタオルで仔犬を包んで、しっかりと引っぱって介助してあげましょう。ただし、急激に力を加えて無理矢理引っぱってはいけません。5分くらい介助しても仔犬が出てこない場合は、すぐ病院へ連絡してください。

こんな時はすぐに病院へ連絡しましょう!
  • 引っ張っても仔犬が出てこない
  • 30分以上陣痛があるが、仔犬が出てこない
  • 残っている仔犬を産むのに6時間以上もかかっている
  • 4時間以上経過しているが次の仔犬が出てこない
  • 黒っぽいおりものが出てきたが、その後3〜4時間たっても仔犬が産まれてこない
  • 妊娠期間が65日以上続いている

偽妊娠(ぎにんしん)

偽妊娠は、妊娠していないにもかかわらず、妊娠したのと同様の身体の変化が起きることで、主に、乳腺が腫れる、お乳が出るなどの症状が見られます。原因は性ホルモン「プロラクチン」の分泌で、発情期が過ぎれば自然と元に戻りますが、偽妊娠を繰り返すと子宮、卵巣、乳腺の病気を発症する確率が高くなるため、避妊手術をお勧めします。

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